人を育て、チームが伸びる理由ー淞南サッカー部の“人づくり”に学ぶ指導の本質

『立正大淞南高校の個とチームの磨き方』南健司 著を読んで

こんにちは!三島一人です。今日は私が小学校から高校を通じ活動したサッカーについて。

正直に言うと、私は本書を読むまで淞南サッカー部に対して「強豪校」という漠然としたイメージしか持っていませんでした。島根県で高校サッカーをしていた身として、淞南サッカー部の名は当然知っていましたし、南監督の存在も当たり前のように認識していました。県外からレベルの高い選手が集い、熾烈な競争の中で技術を磨き、さらに成長していくチーム。そのような印象を持っていたのです。

実際に私自身、選手として間近で彼らの試合を見る機会も何度かありました。私のチームが淞南と対戦したこともあり、私はベンチに入るか入らないかという立場ながら、迫力と完成度の高さに驚いた記憶があります。

しかし本書を読み進める中で、私の中の淞南に対するイメージは大きく変化しました。序盤で強く感じたのは、「淞南は単なる強豪校ではなく、“人を育てる場所”である」ということです。単に強さを追求しているだけではなく、その根底には徹底した“人づくり”が存在していました。技術や戦術の前に「人(ひと)」がある。この姿勢を非常に大切にしていることが、本書全体から伝わってきます。

とはいえ、「人を大事にする」と聞くと甘さやゆるさを想像する方もいるかもしれません。しかし、淞南サッカー部にはそのような曖昧さは一切ありません。学生スポーツであっても「勝つことへのこだわり」を強く持ち、その上で勝利へ直結する理論的な練習を積み重ねています。

特に印象的だったのは、“今なぜこの練習をするのか”“この行動にはどんな意味があるのか”を徹底的に言語化し、選手に示している点です。理由のわからない練習ほど苦痛なものはありませんが、意味を理解して取り組むことで選手自身の意識や成長スピードが大きく変わります。この姿勢は誰が読んでも納得できるものだと思います。

さらに驚かされたのは、大人数の部員がいるにもかかわらず、南監督をはじめスタッフが“個々の特徴”を丁寧に把握している点です。特に長所を見抜き、それを伸ばすための関わりをしているところに、淞南が長年結果を出し続けてきた理由があるのだと感じました。

強豪校だからといって、すべての選手が入部時点でスターというわけではありません。むしろ大学進学後に一気に伸び、プロとして活躍する選手が多いという事実が、淞南で培われた“人としての土台”の強さを証明しています。

本書を読みながら強く思ったのは、「認められている」という感覚の大切さです。いま自分が取り組んでいることに意味があり、その意味を大人が具体的に示してくれる。この環境が、サッカーだけでなく勉強、部活動、さらには社会人になってからの成長にもつながるのだと実感しました。

社会人の方は仕事の中で後輩と関わる機会があると思いますが、本書は“指導とは何か”“相手を伸ばす関わり方とはどうあるべきか”を考えさせてくれる貴重な一冊となるはずです。サッカーに携わる方はもちろん、部下を持つ管理職の方、子どもと向き合う親御さんなど、多くの立場の人にとって役立つ内容だと感じます。

強さの裏側にあるのは、「人を育てる哲学」。
これはスポーツの枠を超えて、あらゆる組織が取り入れるべき考え方だと強く思いました。

淞南サッカー部の印象が大きく変わるだけでなく、育成や指導の本質に触れられる一冊です。多くの方に手に取っていただきたいと思います。



「もう無駄にはしない! 納得できないあなたの保険料「1円たりとも逃がさない!」
  ▶ ここをクリックして詳しく見る