和田 毅さんに学ぶ「長く結果を出す人」の思考|『だから僕は練習する』

こんにちは!三島一人です
今回は、元ソフトバンクホークスの 和田 毅さんの本です。

『だから僕は練習する』天才に近づくための挑戦 和田毅 著 /

和田毅投手といえば、島根県出身者にとって特別な存在だ。私自身、浜田高校時代の活躍をリアルタイムで見ていた世代であり、当時の彼の投球はまさに「県内トップクラス」という域を超え、圧倒的なインパクトを残していた。島根県という地方の高校から、全国で名を響かせる投手が出てきたという事実は、多くの高校球児や地元の大人たちにとって大きな誇りだった。

進学した早稲田大学でも、私の目には「安定感のあるエース」という印象が強かった。派手に三振を量産するというより、淡々と試合をつくり続ける。浮き沈みが少ない。まさに安定している。そうした姿に、彼の実力はもちろん、内面に確固たる準備と哲学があることを感じていた。

しかし、本書『だから僕は練習する』を読んでみると、その「安定感」がどれほど膨大な努力と、理論に裏打ちされた積み重ねによって成り立っていたのかを思い知らされる。むしろ、彼ほど徹底して自分を客観視し、淡々と課題と向き合い続けた選手はそう多くないのではないかとさえ思う。

■ 自分を“俯瞰して捉える”という武器

和田投手の特徴は、野球の技術だけではない。自分を俯瞰し、現状を正しく把握し、その上で必要な行動を淡々と積み重ねていく姿勢である。本書を読み進めると、彼がどれほどデータと理論を重視し、日々の練習に意味を持たせていたかがよく分かる。「なんとなく良さそうだからやる」ではなく、「なぜそれをやるのか」という理由づけが必ず存在している。

例えば、フォームの微調整にしても、練習メニューの組み立てにしても、「感覚」より「再現性」を重視する。そのために客観的なデータを取り入れ、負荷の調整や体づくりを綿密に計画する。派手なトレーニングを大々的に紹介するわけではなく、むしろ地味で、ひたすら継続が求められるものが多い。

だが、その地味な積み重ねこそが、短命と言われがちなプロ野球の世界を長く生き抜いた最大の要因なのだと感じた。

■ “ネガティブ思考”をどう扱うか

本書で印象的だったのは、和田投手が自分自身を「ネガティブ思考」だと語っている点だ。世間では、プロ選手といえば強気で前向きなイメージが先行する。しかし彼は、自身の不安や弱さを否定するのではなく、それを認識した上で「では、どうやって対処するか」を考える。

これはビジネスの世界にも通じる重要な視点だ。ネガティブな感情を押し殺すのではなく、事実として受け止め、その上で「できること」にフォーカスする。和田投手の姿勢には、謙虚さと現実を直視する強さが共存している。それが長く結果を出し続けられた理由であり、この本に一貫して流れるテーマでもある。

■ 本書が伝える “一朝一夕では積み上がらない力”

本書には、練習メニューやフォームの考え方、投球の組み立て、ケガの考え方といった具体的な話が多く書かれている。しかし、ただ技術的な本というわけではない。むしろ「毎日の積み重ね」の価値や、「自分と向き合う姿勢」の重要性を伝えてくれる内容だ。

特に強く心に残ったのは、「人はすぐに結果を求めてしまうが、結果は常に“積み重ねの後にしか来ない”」というメッセージだ。和田投手はそのことを、生き方を通して体現している。派手さのないトレーニング、丁寧な体のケア、技術的な微調整。それらがどれほど地味であっても欠かさず続ける。成果が出ない時期でも続ける。まさにプロフェッショナルの姿勢だ。

■ 和田毅という“生き方”に学ぶ

浜田高校時代からプロでの長い活躍まで、私の中では「クレバーで安定した投手」というイメージがあった。しかし本書を読んだ後、その印象はより深く、重みのあるものへと変わった。安定して見えた投球の裏では、誰にも見えない努力と、とてつもない自己管理が積み重ねられていたのである。

彼の姿勢は、スポーツだけでなく、ビジネスや日常生活にも応用できる。「謙虚に自分を見つめる」「できることを淡々とやる」「積み重ねが未来をつくる」。シンプルだが、忘れてはならない普遍的な教訓だと強く感じた。

■ 最後に

『だから僕は練習する』は、野球ファンはもちろん、プロの世界で生きる人、部下を持つ人、自分の成長と向き合いたい人にとって、多くの気づきを与えてくれる一冊だ。和田毅という選手がどのように自分を整え、プロとして長くプレーしてきたのか。その背景にある考え方や哲学は、スポーツを超えて、多くの読者の人生にヒントを与えてくれる。

地元・島根から全国へ羽ばたいた一人の投手の“鍛え方”と“生き方”。
そこには、今の時代だからこそ読んでおきたい価値があると感じた。



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